腸内でその9割以上が生成されているセロトニン。もちろんそのセロトニンにも材料となる栄養素が存在する。ここではその栄養素と、それを多く含む食材について詳しく解説した後で、〆にそれを台無しにするようなことをのたまう。
以下、100gあたりの含有量で多いものを厳選して紹介していく。ランキング形式にしてあるので、めんどくさい人はとりあえず各章の一番最初に紹介してあるジャンルの、表の一番上にある食品だけ覚えておくといいと思う。
トリプトファン
トリプトファンとは、アミノ酸の一種で人間の必須アミノ酸のひとつ。安眠に必要なメラトニンの材料にもなるできる子。
- 美しく健康な髪や肌をキープする
- 抗酸化作用がある
- 集中力や記憶力を高める
- 即効性がある
- セロトニンの直接的な材料になる
【1日あたりの理想摂取量】
男性・女性とも体重1kgあたり2.0mg
魚介類でトリプトファンを多く含む食品
食品名 | 含有量(mg/100g) |
すじこ | 330mg |
かつお | 300mg |
あじ | 230mg |
すじこ(いくら)が最強で、次にかつお、あじが続く。つまり図にすると、
こういうことになる。
書籍は仕方ないとしても、よくこういう食材を紹介しているサイトでは、かつおと並んでまぐろ(300mg/100g)が載っているが、いや海の食物連鎖の上の方にいるまぐろとか向こう30万年は食べちゃダメだろ。
そもそも生物濃縮を理由に妊婦さんはまぐろNGなのは有名な話だが、あの日東北で起こってしまった災害で海に流れ出した大量の放射性物質のことを考えると、妊婦さんだけでなく若い人は皆、まぐろはなるべく控えたほうが良さそうである。「ただちに影響はない」は魔法の言葉じゃない。
肉類でトリプトファンを多く含むもの
食品名 | 含有量(mg/100g) |
牛レバー | 290mg |
豚レバー | 290mg |
鶏レバー | 270mg |
レバー最強。
ただし、牛のレバーはともかく豚レバーはクセが強くて苦手な人も多いはずなので、ここでは鶏レバーがおすすめ。俺も小さい頃からレバーが大嫌いだったが、大人になってから飲み会でウザい先輩のしつこい勧めで渋々食べた鶏レバー串から、すっかり鶏レバーにハマってしまい、今では焼き鳥のある居酒屋に行ったら毎回ファーストオーダーで注文するくらい大好きだ。
種実類でトリプトファンを多く含む食品
食品名 | 含有量(mg/100g) |
カシューナッツ | 360mg |
落花生 | 270mg |
アーモンド・くるみ | 200mg |
100gあたりに含まれるトリプトファンの量でいえば、実はごま(370mg)が最強だが、まさかごまを100gぼりぼり食べる人なんていないだろう。現実的な、ちょっとふりかける程度(3gくらい)だと摂取できるトリプトファンの量はそこまで多くないので除外した。他の種実類も100gなんて無理ゲー。美味しく食べられるのはたぶん10gくらいなので、実際はこの10分の1くらいになると考えて欲しい。
相性のよさそうなものとしてついでに紹介しておくと、
食品名 | 含有量(mg/100g) |
チーズ | 290mg |
チーズもなかなかの含有量を誇っている。
豆類でトリプトファンを多く含むもの
食品名 | 含有量(mg/100g) |
大豆 | 520mg |
油揚げ | 270mg |
納豆 | 240mg |
枝豆 | 150mg |
大豆スゴイ。
ビタミンM(ビタミンB9、葉酸、プテロイルグルタミン酸)
「葉酸」とも呼ばれ、2014年頃からちょっとしたブームになったので知っている人も多いと思う。水溶性ビタミンの一種。
- 美しく健康な髪や肌をキープする
- 代謝を活性化し老廃物の排出を助ける
- 造血作用を促進する
- 細胞分裂を促進する
- 自律神経を整える
【1日あたりの理想摂取量】
男性・女性240μg
という働きがある。
葉酸は水と熱に弱い!
葉酸は水に溶けやすく、さらに調理過程で加熱すると半減してしまうので、以下の食品はなるべく生のまま食べるのが好ましいといわれている。
肉類でビタミンM(葉酸)を多く含むもの
食品名 | 含有量(μg/100g) |
鶏レバー | 1300μg |
牛レバー | 1000μg |
豚レバー | 810μg |
鶏レバー最高。
魚介類でビタミンM(葉酸)を多く含むもの
食品名 | 含有量(mg/100g) |
うなぎ(生) | 380μg |
うに(生) | 360μg |
すじこ | 100μg |
魚介類はちょっとお高めの食材が多いので、現実的ではないと思う。
その他食材でビタミンM(葉酸)を多く含むもの
食品名 | 含有量(μg/100g) |
焼きのり | 1900μg |
味付けのり | 1600μg |
岩のり | 1500μg |
抹茶 | 1200μg |
枝豆 | 260μg |
アスパラガス | 180μg |
ブロッコリー | 120μg |
オクラ・ほうれん草 | 110μg |
海苔が際立って含有量が多い。言わずと知れた日本人にとって身近な食品なので、これはありがたい。しかも味付けのりでもそんなに含有量が変わらない。
ビタミンB3(ナイアシン)
ビタミンB3は「ナイアシン」と呼ばれ、葉酸と同じ水溶性ビタミンの一種だが、熱に強い。人間が楽しく健康に生きる上でめちゃくちゃ重要な栄養素で、不足すると口内炎、皮膚炎、下痢などの露骨なサインが出る。
- 糖質・たんぱく質・脂質の代謝に不可欠
- 循環系、消化系、神経系の働きを促進する
- アセトアルデヒド(二日酔いの気持ち悪さの原因)の分解を助ける
- アルコールの分解を助ける
【1日あたりの理想摂取量】
男性15mg 女性12mg
野菜・種実類でビタミンB3(ナイアシン)を多く含むもの
食品名 | 含有量(mg/100g) |
落花生 | 17.0mg |
しいたけ | 16.8mg |
舞茸 | 9.1mg |
エリンギ | 8.1mg |
落花生としいたけが多い。ナイアシンはきのこ類に多く含まれる栄養素である。
魚介類でビタミンB3(ナイアシン)を多く含むもの
食品名 | 含有量(mg/100g) |
たらこ | 56.9mg |
かつおぶし | 45.0mg |
かつお | 20.0mg |
めんたいこ | 19.9mg |
にぼし | 17.0mg |
さば | 15.0mg |
するめ | 14.1mg |
やっぱりすじこがスゴイ。さすが魚卵である。北海道では本州の秋の柿のように、すじこが隣近所身内親戚間でタッパーサイズでやり取りされるそうなのだが、一般的にはすじこはお高く、シーズンもあるので、現実的にはそれ以外の食材を意識的に摂っていくことでナイアシンを補うのがベスト。
個人的にはにぼしとするめが注目。お酒を飲む時のおつまみにすれば、翌朝のポテンシャルが段違いだ。
飲み物でビタミンB3(ナイアシン)を多く含むもの
食品名 | 含有量(mg/100g) |
抹茶 | 4.0mg |
コーヒー | 0.8mg |
ビール | 0.8mg |
トマトジュース | 0.7mg |
よし、明日から抹茶を立てて飲もう!
とは絶対にならない。ご覧のとおり、飲み物に含まれるナイアシンは非常に少ないため、飲み物からの摂取は現実的ではない。これで事足りるなら、仕事中はコーヒー、夜はビールをガブガブしている日本中のサラリーマンはみんななんか知らんけど毎日HAPPYな気分に包まれているはずだ。しかし実際はそうではない。
ビタミンB6
これも水に溶けやすい水溶性ビタミン。不足すると皮膚炎、口内炎、湿疹、蕁麻疹、痙攣、手足のしびれなど露骨な身体的サインが出る。神経伝達物質の合成にも使われる非常に重要な物質。
- 代謝を活性化し老廃物の排出を助ける
- 成長促進作用
- 美しく健康な髪や肌をキープする
- 月経前症候群の改善
- つわりの軽減
【1日あたりの理想摂取量】
男性1.4mg・女性1.2mg
ビタミンB6を多く含む食品
食品名 | 含有量(mg/100g) |
とうがらし | 3.81mg |
米 | 3.27mg |
にんにく | 2.3mg |
牛レバー | 0.89mg |
かつお | 0.8mg |
含有量が少ないものや、たくさん含まれているけれどマニアックなものを省いてひとまとめにした。実を言うとまぐろにも1食150gあたり1.5mg前後含まれているが、まぐろは向こう30万年は時期ではないと思う。
いちいち気にするのがめんどくさいあなたへ
みんな本当にこんな細かいこと気にして生活してんの?
「うわめんどくさ」と思った方!安心してほしい。俺も知識としては持っているがこれを意識した生活を徹底することで、ハイテンションライフを手に入れたわけではない。いくらは好きだけど高いし、かつおの横に見切り品の鯛があったら迷わず鯛を買うし、鯵は小骨が多いから嫌いだ。
そもそも、人間の体には、当然のことながら非常に優秀な生命維持機能が搭載されている。「うわ、俺にんにくもかつおもレバーもここ1年くらい食べてないわ」っていうあなたが、皮膚炎や口内炎に悩まされていないのは、それを別の食材で無意識に補っているからである。そう、人間は不足している栄養素を含む食材を無意識に欲するように出来ているのだ。
案ずることはないし、今はいいサプリメントも探せばすぐに見つかるので、ほんと好きなものを美味しく食べて楽しく生きよう。
俺の経験上、ことテンションをアゲる、ストレスに強くなる、メンタルバランスを整える、というところにフォーカスしていえば、プロバイオティクスやプレバイオティクスを毎日腸に送り込んだほうが、まず費用対効果がいい。これは間違いない。あくまで主軸はそこに置くべきである。
その上で「もっと加速させたい」とか「イマイチ体感が薄い」とかそういう時に「じゃあトリプトファン入れてみっか!」みたいな感じでいいのだ。
敵軍に攻められまくって弱りまくっている我軍の工場に、いくら材料を届けたところで生産どころじゃない。それを効率とは言わない。シンプルに敵軍を殲滅する援軍と回復アイテムを大量に送り込んだほうが、少ないながらある材料がMAX活きるというものだ。
以上が伝われば本望だ。
とりあえず、有胞子性乳酸菌ぶち込んで、腸内の悪玉菌ヒーヒー言わせようぜ!
あなたのハイテンションライフを祈る。チャオ!
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